レース・トゥ・イレブン 〜 毎週火曜日連載・ビリヤードの長編連載小説です 〜
第51話 プライベート・レッスン
2011.12.28.Wed 01:04
JUGEMテーマ:連載
年の瀬も迫る頃、世間の慌ただしさとは別世界のようにこの界隈は静かさを保っていた。 「ひょっとして、あたしが来ると思ってました?」そう佐倉が問いかけると、大家は何も言わずに頷いた。 「ビリヤードをやってるとね、なぜだか履き物までそれに合わせちまってね」 相田家の母屋に通されるのは初めてのことである。 「で、あたしにビリヤードを教わりたい・・・と」せっかちな大家は単刀直入に尋ねた。 佐倉は即座に返答できなかった。教わる身として、大家のことをどれだけ頼っていいのか、まだ彼女には分かりかねる部分があったからだろう。彼女の目をしっかりと見据える大家の目。それが彼女自身の度胸を問われているような気がした。 「ええ、お願いします」 再び顔を上げたとき、大家の顔は満面の笑みを浮かべていた。
| 第三章 カモナ・マイホーム | -
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-わからない用語は↓で調べてくださいネ☆-
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