レース・トゥ・イレブン 〜 毎週火曜日連載・ビリヤードの長編連載小説です 〜
第40話 焼き肉か、立ち食いそば
2011.09.06.Tue 07:00
JUGEMテーマ:連載 ドガーン!という、お嬢のブレイクに始まり、牛島とお嬢による息のあったペアは、じっくりと綿密な相談をしながらのプレイをスタートした。指示をするのはお嬢の方だが、牛島は自称「ビリヤード博士」の知識を総動員して戦略的に彼女をサポートしていた。 息のあったペアではあるが、いかんせん牛島のシュート力がやや劣ることもあり、そうそううまく取り切ることができる訳でもない。そんなときには牛島のセーフティ・プレイの知識でこれまで切り抜けてきたのである。 「ねえ、どうする?」お嬢は牛島に相談した。牛島の前のショットでポケットすることは出来たものの、次の的球の狙いが無いためである。お嬢は椅子に腰掛けている二人の方をちらりと見た。「もし順番を回すとすれば、次はプロの方ね・・・」 しばらく思案していた牛島は頭に何かひらめいたようにレールの上を拳で軽く叩いた。 「そうだ、あれにしよう」 「あれって?」 龍はぐるりとテーブルの周囲を回り、ボールのコースをクッション側からも確認する仕草をした。当てることは難しくない。しかし、これをさらに隠すとなるとかなりの正確さを必要とする。龍はこれまでの経験から、最良の選択を弾き出していた。
二人を見上げながら佐倉はクスクスと笑い出しそうだった。そんな真剣な会話をしていたのが女王様と犬の姿をしているのだから。 龍がショットをした。クッションから入った手球は見事に的球をヒットし、クルクルとその場に回転する手球を残したまま、的球が軽く弾き飛ばされてクッションに当たり、さらにキツイ状態で他の球の陰に隠れてしまう。 「あちゃー」と牛島は嘆いた。「これを返すなんてエフレンぐらいしかいないと思っていたのになあ」
龍の話しの誘導が正しいかどうかはさておき、佐倉の気分はうまくコントロールされたようである。そして今度はお嬢のシュートミスから彼らに順番が回ってくるのであった。
| 第二章 はじめての試合 | -
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