レース・トゥ・イレブン 〜 毎週火曜日連載・ビリヤードの長編連載小説です 〜
第36話 痛恨のファール
2011.08.09.Tue 07:00
JUGEMテーマ:連載 「お嬢や佐倉さんたち、今頃どうだろうねェ?」浅めの湯飲みに急須から番茶を注ぎ、最後の一滴を振り絞ろうとしながら堀川のマスターはこう話しかけた。相手は大家こと相田である。 カウンター越しに椅子に腰掛けた大家がそれに答える。 「さあ、あのプロがいるから頑張るんじゃないかね?」 しばらくの沈黙が続き、黙っているのが苦手なマスターはどうしても何か話しかけないと気が治まらない様子だ。 龍・佐倉ペアの試合は少し進み、3対4にまで追いついた。どちらもあと1セット取ればこのゲームに勝つことになる。リーチ・リーチの状態、ビリヤードの世界ではヒルヒルとも言う。 サイドレールからのブレイクをする佐倉。しかし緊張のあまりタイミングが合わず、まさかのミスキューをしてしまう。手球は1番とは全く違う方向へ行き、どの球にも当たらずに戻ってきた。 しかし、6番でシュートミスしてしまい、龍の番である。難球であるが、何とかこれをバンクショットで決め、ポジションも比較的好位置につける。ここで佐倉の出番だ。身長が低めの佐倉は、ちょっとテーブルの奥まで手を伸ばさなければならない。足をめいっぱい伸ばし、ストップショットの撞点に向かってキューを構える。 「ファール!」 | 第二章 はじめての試合 | -
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